教育委員会向け 生成AI利用ガイドラインの雛形(必須条文サンプルつき)

資料配布:自治体(教育委員会)向け「生成AI利用ガイドライン」雛形
目次

1. テンプレート概要

本テンプレートは、文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」等の公的方針に準拠しつつ、自治体(教育委員会)が管轄下の教職員および児童生徒に向けて発出するための「生成AI利用ガイドライン」の標準雛形です。

教育現場における教員の方々が「利用の可否」について過度に萎縮することを防ぎ、「規定事項を遵守する範囲において、積極的な業務効率化および教育活動に活用してよい」という明確な利用境界を提示することを主眼として設計されています。

同じ課題を実際にどう減らしたかは、次のページで説明しています。
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2. テンプレートの構成目次

本ガイドライン案は、以下の構成によって網羅的に要件を定義しています。

  1. 基本方針と目的
    1.1 自治体としての生成AIに対する基本姿勢(一律排除を避け、適切な活用能力を育成する)
    1.2 対象適用範囲(教職員による校務利用、および児童生徒による学習利用)
  2. 【教職員向け】校務における利用ルール(推奨および禁止事項)
    2.1 [推奨事項] 業務効率化を目的とした利用(各種文書のドラフト生成、アイデア壁打ち、翻訳処理等)
    2.2 [禁止事項] プロンプト入力の制限領域(個人情報、未公開の機密情報・テスト問題等)
    2.3 [義務事項] AI出力結果に対するファクトチェック(事実確認)と最終的判断の自己責任
  1. 【教職員向け】児童生徒への指導に向けた留意点
    3.1 発達特性・年齢に応じた利用制限(提供元規約である13歳未満の保護者同意等の遵守)
    3.2 出力結果を無自覚に信用しない「クリティカル・シンキング」の育成方策
  2. 【児童生徒向け】学習活動における利用ルール(※保護者向け説明資料への転用可)
    4.1 [禁止事項] コンクール提出作品やレポート課題等における「直接的な複製(不正行為的利用)」の禁止
    4.2 [推奨事項] 学習の補助(思考の壁打ち相手、語学等の会話練習ツール、プログラミング構文の検証等)としての適切な活用
  3. 情報セキュリティおよび著作権等に関するリスク管理
    5.1 オプトアウト(入力情報がAIの学習データとして利用されないための設定)の徹底
    5.2 生成物が第三者の著作権その他の権利を侵害するリスクに対する注意喚起
  4. 違反時の対応規定およびガイドラインの見直し等

3. 具体的な運用を促す「必須条文」サンプル

本テンプレートより、現場がガイドラインに基づき安心してテクノロジーを活用するためのモデル条文(抜粋)を紹介します。

サンプル条文A:個人情報の定義と利用境界(判断基準の明確化)

第〇条(入力情報の制限要件に関する特例)
「教職員は、生成AIのプロンプト(指示文)に対して、児童生徒の氏名、住所、生年月日、電話番号等の『特定の個人を識別可能な情報(個人情報)』の入力を行ってはならない。ただし、個別の教育支援計画等のドラフト案を作成するプロセスにおいて、対象者の氏名を特定の仮名(Aさん等)へ置換し、かつ当該個人が特定されない水準まで抽象化・一般化された事象のみを入力して文章を生成すること等については、業務の高度化・効率化の観点からこれを認める。なお、この条件において利用可能なAIツールは、オプトアウト設定(入力データがAIモデルの継続学習に利用されない環境設定)が担保されたサービスに限定されるものとする。」

サンプル条文B:著作権保護と不正利用の防止(児童生徒向け指針)

第〇条(学習活動における不適切な利用の禁止)
「児童生徒は、各種学力評価にかかるレポート、作文課題、およびコンクール等の提出物に対して、生成AIが出力した文章・画像等のコンテンツを、自身のオリジナル成果物として直接的に転用・提出してはならない。これらの行為は学習プロセスの公正性を損なうものと判断される場合がある。ただし、教員等の承認を得た上で、文章構成の検討等のための『相談相手』としてAIを用い、最終的に児童生徒自身の言語で構築すること、もしくは当該出力を参考資料として適切な出典明記のルールに則り引用することはこの要件の対象外とする。」

サンプル条文C:教員の専門性担保と責任の所在

第〇条(出力結果の利用に関する教員の責任)
「生成AIは、確率的推論に基づき事実と異なる情報(ハルシネーション:虚偽生成)を出力する潜在的リスクが存在することを常に認識しなければならない。教職員がこれらを利用して作成した教材、公文書、保護者宛の通知等を公式に運用・配布する場合、必ず教職員自身の専門的知見に基づいて事実に反しないか等の確認(ファクトチェック)を実施するものとし、最終的な当該情報に関する発行責任は当該教職員(および組織の長)に帰属するものとする。」


ヒント
管理者、管理職、自治体の情報担当者の皆様へ
生成AIに関する基盤技術の構造的進化や、文部科学省等による指針のアップデートは比較的短い間隔で行われています(※1)。本件のようなガイドラインの付則・末尾には、「本ガイドラインは技術動向および社会情勢を踏まえ、半期毎または適宜に必要項目の見直しを行うものとする」といった「暫定性および規定の柔軟性」を明記しておくことがガバナンス上の推奨事項となります。


注釈・出典

※1 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」等


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この記事の執筆・監修

学校現場と教育委員会の双方に関わった経験をもとに、校務改善・ICT・生成AIの実務情報を発信しています。

学校ICTの導入・運用・現場定着に約9年携わり、その前にはエンジニアとして約10年の経験があります。業務フローの整理から改善設計、実装、導入後の定着までを一続きで扱っています。

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