教育現場におけるクラウド環境(Google Workspace for Education等)の整備が進むにつれ、「Googleフォーム」は各種アンケート、小テスト、授業の振り返り等、広範な校務・学習業務で利用されています。
しかしながら、利用頻度が向上するにつれ、「フォームを作成する工程自体の業務負荷」が課題として顕在化しています。複数のクラスごとに同一レイアウトのフォームを反復作成したり、数十問に及ぶテストをUI上から1問ずつ手作業で入力したりといった作業は、教員の方々にとって大きな負担となっています。
本稿では、プログラミングの専門知識を必要とせず、スプレッドシート上のデータから複数のGoogleフォームを瞬時かつ一括で自動生成する仕組み(GAS連携技術)を用いた業務プロセス改善について解説します。
※ 本稿では Google フォームでの自動作成方法を解説します。Microsoft Forms でも同様の自動作成は可能ですが、本稿では割愛します。
1. 手動のフォーム作成における構造的な課題
Googleフォームは汎用的なUIを備える一方で、大規模かつ反復的なテストデータ等の作成においては非効率な側面を有しています。
- 入力作業の肥大化: 大量の設問(例: 50問の小テスト)を作成する場合、Web画面上で「設問の追加」「解答形式の選択」「各選択肢の入力および正答設定」の操作を繰り返し行うことになり、物理的な作業時間が極端に増加します。
- ファイルバージョンの乱立: 「1組用」「2組用」と個別にファイルをコピー作成した結果、クラウドドライブ内に類似ファイルが点在し、データ集約時に混乱を招くケースが散見されます。
- 仕様変更への対応コスト: 学年単位で配布済みの保護者アンケートなどに設問を追加・修正する必要が生じた場合、作成されたファイルすべてに対して個別に修正作業が発生します。
同じ課題を実際にどう減らしたかは、次のページで説明しています。
校務改善の具体例と削減時間を見る
2. 「スプレッドシートデータからのフォーム一斉生成」の仕組み
これらの課題は、Google Apps Script(GAS)を介して、表計算データ(スプレッドシート)を読み込み、自動的にフォームのオブジェクト構造へと変換・出力するプロセスによって解決可能です。
業務プロセスの比較
- 現状(手作業): Webブラウザの編集画面より、設問、形式(選択式・記述式)、選択肢を1つずつ入力。標準的な30問のテスト作成では、1問の入力に約1分・設定に約2分として、約32分の工数を要すると当サイトで試算しています。
- 改善後(自動生成): 使い慣れたスプレッドシート上に、「質問文」「形式」「選択肢」を一覧として入力(または過去の教材データから一括ペースト)し、スクリプトを実行するのみです。数秒程度で、完全な構造を備えたGoogleフォーム群が出力されます。
3. 当該技術が適用できる実務シナリオ
この技術の導入は、以下のような校務プロセスで特に作業時間を減らしやすい場面です。
① 学年・全校規模におけるアンケートの効率的運用
スプレッドシートの制御設定を活用し、各クラス用など複数パターンのフォームを一括生成すると同時に、すべてのフォームの送信結果を「単一のマスターデータ(スプレッドシート)」に自動記録させることが可能です(※1)。これにより、教員による後からのデータ結合・コピペ作業といった「名もなき校務」が不要になります。
② 日常的な「振り返りシート」の計画的作成
「毎回の授業のエンドに実施する振り返りフォーム」などを、年間計画の授業数(例: 40回分)に基づいて一律作成し、指定されたクラウドフォルダ内へシステマティックにナンバリングして格納することが可能です。
③ 既存の教材資産(Word/Excel形式)からの移行
これまで紙媒体での配布用に作成・蓄積されてきた問題データ(Wordテキスト等)をスプレッドシートの列構成に合わせて貼り付けるだけで、オンライン配信・自動採点可能なデジタルフォームへと一括変換できます。
まとめ
優れたクラウドツールの活用にあたっては、「利用できる環境がある」ことと「組織として効率的に運用する仕組みがある」こととの間に、業務効率の面で大きな差が存在します。
当該のような生成機能を環境内に提供することにより、所属する教員の方々は単純な入力作業から解放され、より本質的な教育活動やデータ分析へとリソースを集中させることが可能となります。
注釈・出典
※1 各種教育機関や自治体におけるGoogle Workspace運用ベストプラクティスに基づく設計手法に準拠
ご相談・お問い合わせ:お問い合わせフォーム(メールの場合は contact@koumulab.jp/校務改善ラボ)

